「朝也、こっちこっち!お迎え、ご苦労」
「お前な……、」
「必要な画材を買い揃えていたら、持ち切れない事に気付いてさ。電話1本で車出してくれるなんて愛を感じるねぇ。あ、そっちの袋、頼める?」
「重……。何だ、これ?同じ缶ばかり」
「クイックベース、カンバスに塗る下地材だよ。同じじゃないよ?色が違うんだ」
「そうか」
「明日、休みでしょ?カンバス張るの手伝ってよ。ちょっと、大きいの張るからさ。あ、そっちのロールカンバスも運んで。中にタックスの入った袋があるから落とさないでね」
「タックス?」
「カンバスを張るのに使う釘。色々なサイズがあるから、そう、それそれ……」
「お前、大概、人使い荒いよな?」
「そのぶん今夜もサービスするからさ♪」
「いらん。寝かせろ……」
「……I want to sleep with you俺はしたい.」

「朝也と海を見るの久しぶりだね」
「他のヤツとはあるのか……?」
「え゛、そんな言い方するの珍しいね、嫉妬に聞こえるよ?」
「そんなんじゃねぇよ」
「残念」

…………………………………………

「ねぇ、朝也。今日は一日、何してた?」
「何って仕事に決まってる」
「楽しんだ?」
「……お前、面白いことを言うな。楽しいって……」
「じゃ、辛かった?」
「そんなふうに考えたことは無い、いつも通りだ。お前は?」
「うん。この近くでアートメッセの打ち合せがあったの。担当の人、女性なんだ」
「へぇ……どんな感じだった、上手くやれそうか?」
「土偶みたいな人。40半ばってとこかなぁ?ハッキリものを言う人で俺は嫌いじゃないよ」
「土偶って……、他に言い方があるだろ?」
「え。朝也は土偶の美を否定するの?」
「お前、誉め言葉のつもりだったのか?」
「当然だよ。俺はグラマラスで良いって言ったんだ。ぽっちゃりした人でさ、胸がデカくて、ウエストは一応、くびれてて、尻がバーンみたいな。ボブパーマって言うの?髪もナチュラルで似合ってて、ちょっとオリエンタルな雰囲気の中々、美人」
「……」
「そう!字が綺麗なんだよ。呑み込みも早くて俺が作品のコンセプトを伝えたら効果的な展示方法とか一緒に考えてくれて、すっかり話し込んじゃってさ。期待してて!……ぁ、もちろん来てくれるよね?いい仕事、見せてやるから♪」
「随分、やる気満々だな」
「うん。すぐにも筆をとりたいぐらい」
「じゃ、今夜は早く寝て・・・・、明日はカンバス作りに付き合うか……」
「え?」

「ええっー……!」

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